交通事故に関わる保険会社といえば、加害者側任意保険会社ですが、時には被害者側保険会社すら、被害者の前に立ちはだかってきます。
交通事故において、被害者を悩ませるのは、加害者や加害者側保険会社だけではありません。

当事務所へご相談にいらした方の多くは、

1、加害者

2、加害者側任意保険会社

3、医師

4、家族や職場

5、他の専門家

への不満を1~2時間に渡って口にされます。

ここでは、被害者が、自身の損害の証明や説明をするために、「壁」として立ちはだかる方々を紹介します。

もちろん、多くの方が最も不満を口にされるのは、「保険会社」の対応です。

「敵」とは言ってみたものの、当事務所は、言うほど、保険会社を敵視しているわけではありません。

当事務所が保険会社と関わるときは、書類送ってください、とか、被害者請求中ですとか、事務連絡のみであって、交渉はしませんし、無駄に交渉する気もなく、淡々と依頼者と保険会社の情報の受け渡しをするだけですので。

以下では、知っておかないと相手方の言葉に対して、誤解をしてしまったりすることをご紹介します。


▲ このページの先頭へ

任意保険は、契約を取るときは「対人無制限」などと言いながら、実際は、カツカツに支払いを制限してきます。

加害者が、その示談交渉において「人身の賠償金10億」としたとしても、無制限に払うといっているはずの任意保険会社、支払うはずないんだろうなぁ、と思います。

そもそも、無制限なんて、実現不可能な内容の契約が、よく有効に成立するものだと思います。

さて、任意保険、つまりは損害保険会社は、保険業務に関して言えば、実は赤字企業です。

それでも最終的に黒字がでるのは、加入者から預かった保険金を運用して黒字を出しているからに他なりません。

郵政じゃなくて、国民年金を民営化しておいてくれれば、使い込みや不明どころか、増やしておいてもらえたんだろうなぁ、という冗談はさておき。

運用する資金は多ければ多いほど多くの利益を生み出せることから(失敗すれば損失も出ますが)、資金の流出、つまりは賠償金としての保険金の支払いは、保険会社からすれば、避けたいのは当たり前です。

交通事故賠償において、このように、死活問題ともいえる利害関係を持つ損害保険会社が、どうして示談交渉権を持つに至ったかはわかりません。

「士」と付く資格業の存在理由のひとつには、「利害関係のない第三者が間を持つ」ことの必要性があるはずだからです。

しかし、払い渋りがあるとはいえ、紛争処理センター等の利用で、そこの嘱託弁護士のあっせんを受ければ、任意保険会社はそれを尊重することを考えれば、裁判所の手続きを通して、加害者本人に支払いを求めるより、少しはマシなのかも知れません。

ただし、近年、そのあっせん機関への不信感の高まりを感じます。


▲ このページの先頭へ

交通事故に遭い、通院をしていると、任意保険会社から「治療費支払いの打ち切り」を宣告されることがあります。

これを、治療を終了しなければならないという意味と捉える方がいらっしゃいますが、それは違います。

任意保険会社がそれまでしてきたのは「治療費の立て替え払い」といえます。(これも正確な意味ではないように思いますが)

交通事故に限らず、損害を受けた被害者は、その損害が拡大することのないよう、努力しなければなりません。

つまり、後遺障害が残らないようにとか、今の症状が回復に向かうように、努力する義務が課せられています。

逆に、必要以上の通院等を重ね、経済的支出を過剰に行い、治療費と言う経済的損害を拡大するのもダメですが。

損害を拡大するな、という規定は、任意保険会社のいう、多くの「決まり(社内基準)」とは違い、実は、民法という法律に規定があります。

よって、必要があるなら、必要な治療を続けることは、被害者の義務と言えます。

治療を中断し、後遺障害が残るなどの事態を招いた場合、それは、被害者の責任と言われかねない可能性すらあります。

また、損害の賠償は、損害が確定した時に行われるべきものですから、治療費、という損害が発生した場合、それをすぐに支払うのは、本来、加害者側の義務と言えます。

もっとも、必要な治療であるかどうか、疑義がある場合は、そうとは言えません。

疑義があるかも知れないしね、という考え方が、この治療費の打ち切り宣言の根拠となっているのかも知れません。

とはいえ、必要な治療かどうかは、医師が判断すべきことであり、加害者や任意保険会社が判断することではありません。

治療費支払いの打ち切り、と誤解を呼ぶ言い方で、治療費の支払いを拒んできた場合は、治癒や症状固定をしているのかどうか、医師の判断を仰ぎ、必要であるならば、自らの保険証を使ってでも、治療を続けるべきと言えます。

極端な保険会社は治療費支払いどころか「治療の打ち切り」とまで言ってきます。大切なことを略しすぎですね。

被害者が負担した治療費は、示談の際に、加害者側任意保険会社から、支払いを受けることができます。

ただし、10年間、毎日病院に通ったなど、とても必要とは思えない治療の場合は、症状固定はずいぶん前にしていたよね、という判断が下り、症状固定日までの治療費のみの支払いとなることはあります。

医師は、本人が必要だと言えば、診療を断れない、という事情もありますしね。

通常は、常識的な範囲内であるなら、そんなに問題はおきないかと思います。

もっとも、任意保険会社から、医師に、濃厚診療ではないか、と、プレッシャーをかけてくることもあり、始末に負えない部分はあります。

そういう時に、医師が毅然とした態度をとってくれればいいのですが「痛いって言われたら断れない」みたいな言い訳をされてしまうと、ちょっと辛いです。

今まで、一番酷かったのは、治療の打ち切りを宣告し、後遺障害認定のシステムすら被害者さんに伝えず、一方的に傷害部分だけでの示談に持ち込もうとされた事案。

傷害部分の賠償(任意保険からの支払い)も、自賠責傷害部分上限120万より、微妙に少ない額に抑えられていました。

つまり、任意保険からの支払いを一切拒絶したのと同じです。保障のみで、賠償はないのと一緒です。

それでも、その程度はよくあるとしても、この時、もっと悪かったのは、被害者さんが「治療の打ち切り」をその通りに捉えて、通院を止めてしまったことです。

その後、後遺症に耐えきれず、通院を再開し、その後、後遺障害認定の手続きへ、ということになりましたが・・・。

交通事故被害者が、一番やってはいけないことの一つは、治療を中断することです。これは、裁判以外に覆す方法がありません。

示談後、間をおいて認められる後遺障害もありますが、その多くは「脳」に関するものであり、むちうちのような神経症状には有り得ません。

ここの記載に限らず、治療の初期段階から、罠は随所にちりばめられています。

後遺症の可能性が「ゼロ」であるなら、ことさら専門家の助けは要らないかも知れません。

しかし、少しでも不安や疑問があるなら、交通事故の専門家を利用してみてください。


▲ このページの先頭へ

ある駐車場で、交通事故がありました。

軽微な物損事故です。

お互いに過失があります。

でも、出会い頭ではありません。

側面に向かってぶつかった側の方が、もうちょっと注意できたはずだよね、ということで、お互いが納得。

側面にぶつけた側が6、側面にぶつけられた側が4と当事者間ではまとまりました。

お互い、紳士的に対応し、お互い、いい人でよかったよね、あとは、お互いの保険で修理だね、ということで別れました。

ここでは、過失の多い過失6の人を加害者と呼び、過失4の人を被害者と呼ぶことにしましょう。

事故から、半年は経ったでしょうか。

被害者側から、加害者に連絡が入ったのです。

物損の賠償がまとまらない、と。

なぜですか、と加害者が問いますと。

「なぜって、あなたが、過失は5:5だと言って聞かないのでしょうよ!!現場ではあんなに紳士的だったのに!!」

加害者はびっくり!!

あわてて加害者は、自分の加入している保険会社に連絡しました。

加害者側保険会社は、加害者の意思確認をすることなく、独断で、5:5だと半年もの間、頑張りつづけていたのでした。

しかも、それは、加害者自身が5:5だと主張している、というやり方だったのです。

これ、加害者はね、自営業の人なの。

こんな6:4だ、5:5だで地域に悪評ふりまかれたら、商売に影響するでしょうよ。

まして、これを読んでいるあなたから見て、これ、5:5だと思いますか。6:4だと思いますか。

6:4は、保険会社の利益を害する目的でまとまった示談だと思いますか。

これはもう、加害者が自分の保険会社に嫌がらせを受けたも同然です。

加害者は、保険屋任せの気持ちは無くても、被害者への支払いがあれば、支払いの通知が来るので、きちんと確認をするようにしないと、思わぬところで、痛い思いをさせられそうです。


▲ このページの先頭へ

ある交差点で、自動車と歩行者の接触事故がありました。

幸い、自転車側に大した怪我はないようです。

こうした場合は、自転車側に、病院に行くだの、怪我だ、人身だ、なんて騒ぎが起こされそうなものです。

しかし、めちゃくちゃになった自転車だけ何とかしてもらえれば、他に加害者に何かを求めることはない、そういう話になりました。

通学用でしたので、自転車だけは、早く用意することになりました。

自動車側も、損傷がありましたので、それは自分の保険で直すことに。

そしたら。

自動車側の保険会社から、自転車側に連絡が入りました。

「自転車側にも1割の過失がありますので、自動車修理代の1割をご負担いただきます。」

物損事故が人身事故の化けかねない連絡です。

こうまでして、自社の負担を減らそうとする保険会社が、人身の高額な賠償に対してはどのような態度で望んでくるかなんて、想像する必要すらないのではないでしょうか。


▲ このページの先頭へ

   

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
しかしながら、このサイトに掲載してあることは、必ずしも、全ての場面に当てはまるものではありません。
手続等をされる際は、出来る限り、当事務所やお近くの専門家、関係機関への相談等をご利用下さい。

   

お問い合わせはこちら


(面談予約など)
0285-84-2620



スマホからでも打ち込みやすい

   

 

   
© 交通事故被害者相談駆け込み寺