もともと、治す専門なので、書類を書くのが苦手、という話があります。
しかし、それでも、それが診断書など、医療に密接に関わるものであるなら、書類や手続きは苦手、などという言い訳が通用するわけもありません。
また、治す専門であるから、医学では治らない後遺障害の立証は苦手、などという話もありますが、治すにしても、後遺障害の立証にしても、自覚症状等の原因を究明しなければならないのは一緒。
まさか、原因を突き止めずに、治療が行えるとも思えません。
もっとも、調べた上でわからなければ「対症療法」「保存的加療」というのは有り得ます。
しかし、むちうちなどの神経症状は、原因の特定が困難であり、特定することを、最初から放棄している(必要な検査をせずに対症療法を行う)と感じられることが多いことが、被害者から不満を持たれる大きな原因となっています。
医療の専門家でもない被害者から、必要な検査等を促してあげる必要があります。
被害者が知らなければならないのは、法律や、交通事故の手続きばかりではなく、医学的な知識も含まれます。
「検査をせず」に「神経学的所見なし」と書かれたとしても、相手方は「検査をした上で」所見が無かったと判断します。
また、営利に走り、保険証の利用を妨害すらしてきます。
交通事故において、被害者を悩ませるのは、加害者や加害者側保険会社だけではありません。
当事務所へご相談にいらした方の多くは、
1、加害者
2、加害者側任意保険会社
3、医師
4、家族や職場
5、他の専門家
への不満を1~2時間に渡って口にされます。
ここのページでは、被害者が、自身の損害の証明や説明をするために、「壁」として立ちはだかる方々を紹介します。
多少、過激な表現である点は否めませんが、ここでは、敵としての医師について知っていただこうと思います。
もちろん、救世主ともいうべき医師が存在することも付け加えておきます。
以下では、交通事故被害者と、医師が対立する主なケースをご案内します。
病院で「交通事故では健康保険は使えません」というはり紙を見ることがあります。
それは、間違いです。
保険者(保険証を出してくれているところ)に対して手続きすれば、健康保険は使用できます。
国民健康保険なら市区町村役場、社会保険なら会社に問い合わせてみてください。
ただ、手続きをする必要上、最初の支払い(病院にかつぎこまれて、治療をしたらすぐ帰され、その日のうちに、その支払いをしなければならないなど)は、一度、医療費全額を支払う必要がありますが、手続き後、保険者負担分は、返還されます。
ですので、病院がはり紙をするのであれば「交通事故で、保険証利用をご希望の方は、手続きをご説明しますので、受付までお申し出ください」ではないでしょうか。
自由診療扱い(保険証を使わない)ですと、同じ治療を受けても、一般的に、健康保険証利用より、治療費が1.5倍程度になりがちです。それは、裏を返せば、それだけ、同じ費用で受けられる治療の量が減ってしまうということです。
真剣に、患者と向き合おうとする医師ならば、そのような扱いをするとは思えません。
しかし、残念ながら、保険証を使うのであれば、自賠責保険に治療費を請求する際に必要な診断書等を渡さない、と主張する医師すら存在します。
保険証を利用するとかしないとかの判断は別にしても、この貼り紙の有無が、病院を選ぶ一つの基準となることもあるかも知れませんね。
治療費が多くかかりそうなときは、任意保険会社の方から、健康保険証の使用を勧めてくる場合もあります。
以下のサイトでは、医師会や、保険会社の交通事故治療、賠償への向き合い方を垣間見ることができます。
サイト名 | 管理者 |
労災・自賠責委員会答申(平成22年1月)PDF | 日本医師会 |
交通事故においては、被害者さんは、加害者にいら立ち、任意保険会社に嫌な思いをさせられがちですが、時として、医師の対応に嫌な思いをすることがあります。
そのせいなのか、症状によっては、整骨院、接骨院の利用を検討される方が多くいらっしゃいます。
基本的には医師の指導があってから、と言われていますが、相手方の任意保険会社の担当者の承諾を得ておけば、いいのかな、と思います。
ただし、整骨院、接骨院の先生(柔道整復師)は、診断書を書くことができません。
整復師さんが行うのは「医療行為」ではないからです。
普段、書いている書類も、施術書と言います。
整復師の方のほうが、患者さんの訴えによく耳を傾けてくださる傾向があり人気があるように思います。
施術を受ける一方で、どこかの病院で定期的に診察を受けておくことをお勧めします。