関節可動域の具体的測定方法

ここを読むと、お医者さんが何故、かしこまってわざわざ分度器で計らないのかとか、痛くてもグイグイ押すとかの理由がわかります。

1、関節可動域を測定する時の大原則

関節の機能障害は、関節そのものの器質的損傷によるほか、各種の原因で起こり得るものです。

その原因を無視してただ角度だけを測定しても、後遺障害を判断する資料とすることはできません。

つまり、原因が特定されない、推定されないのに、動かないと主張してもダメ! ということです。

したがって、測定を行う前にその障害の原因を明らかにしておく必要があります。

原因となる外傷があったかどうか、画像や、さまざまな検査で、見て取れたり、推定することができるかどうかなどですね。

よって、そういうものが無いと、お医者さんは、可動域の検査をわざわざしようとはしません。

逆に骨折等の場合は、真剣に検査しますよね。

関節角度の制限の原因を大別すると

・器質的変化によるもの

・機能的変化によるもの

に区分することができます。

さらに、器質的変化によるもののうちには、関節それ自体の破壊や強直によるもののほかに、関節外の軟部組織の変化によるもの(例えば、阻血性拘縮)があり、機能的変化によるものには、神経麻痺、疼痛、緊張によるもの等があります。

特に機能的変化によるものの場合は、その原因を調べ、症状に応じて測定方法等に注意が払われます。

わざわざ分度器を当てたりしなくても、問診、触診等で、さりげなく確認はされてます。

なかなか最初から、測りますよ、と言って測ったりしません。

関節可動域の測定値については、 日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会により決定された「関節可動域表示ならびに測定法」に従い、原則として、他動運動による測定値によることとされています。

よく、動かせないのに、先生がグイグイ押す、とかいうのは、この他動運動の原則によるものです。

しかし、他動運動による測定値を採用することが適切でないものについては、 自動運動による測定値を参考として、障害の認定を行う場合もあります。

他動運動による測定値を採用することが適切でないものとは、例えば

・末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が麻痺となり、他動では関節が可動するが、自動では可動できない場合

・関節を可動させると我慢できない程度の痛みが生じるために自動では可動できないと医学的に判断される場合

をいいます。

なので、我慢すれば動かせるのは、可動が制限されているとは、認められ難いものがあります。

また、関節が1方向には自動できても逆方向には自動できない場合の可動域については、基本肢位から自動できない場合は0度とされます。

例えば、手関節を基本肢位から自動で90度屈曲することができるが、自動では伸展が全くできない場合は、屈曲90度+伸展0度=合計可動域90度として健側と比較します。

2、測定する時の姿勢

座って測るの? 立って測るの? 寝て測るの? 寝てる時に動かすと痛くて動かせないけど、立った場合は動かせるとか、そういう質問がよくあります。

測定される人の姿勢と肢位によって、各関節の運動範囲は著しく変化します。

特に関節自体に器質的変化のない(神経症状と呼ばれるもの)場合にはこの傾向が著しく現れます。

例えば、阻血性拘縮では手関節を背屈すると各指の屈曲が起こり、掌屈すると各指の伸展が起こりますし、ひじ関節の場合は、その伸展筋が麻痺していても、下垂位(立って手を下げる )では、 自然に伸展しますよね。

基本的な測定姿勢のほか、それぞれの事情に応じて、体位を変えて測定した値をも考慮して運動制限の範囲は判定されますが、そもそも程度の問題もあるので、細かく測定するかどうかは、症状と、お医者さんの考え方次第です。

3、測定するのは意外と大変

人の動作は、一関節の単独運動のみで行われることは極めてまれで、一つの動作には、数多くの関節の運動が加わっているが普通です。

野球をするときも、バットは腰から入って、腕を使う。そう思わせておいて、足も重要だったり。

スキーは、足で曲がらず、膝とか。

スポーツに限らず、普通に歩くときも、脚だけでなく、腰を使いますよね。

なので、関節の角度も、例えば、せき柱の運動には股関節の運動が、前腕の内旋又は外旋運動には、肩関節の運動が入りやすいこと等に注意して測定されます。

しかし一方で、かかる各関節の共働運動は無意識のうちにも起こるものであるから注意深く観察すると、心因性の運動制限を診断したり、又は詐病を判断するのに役立つことがありま す。

詐病の人は、無意識に起きる健康部位の運動すら、起きないですからね(笑)。

詐病でなくても、後遺障害認定の対象となる症状には心因性の要素が伴われがち(緊張しすぎるとか)ですが、これが過剰な場合は、当然排除して測定できるように、お医者さんの工夫します。

例えば、測定される人の注意を測定したい関節からそらして測定する方法、そして、筋電図等電気生理学的診断、精神・神経科診断等です。

しかし、なかなか筋電図まではやらないので、普段の診察で、さりげなくお医者さんは判断しています。


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