むち打ち損傷による頚部運動制限は脊柱運動制限として後遺障害認定されることはありません。
関節の機能障害は、関節そのものの器質的損傷によるほか、それ以外の原因でも生じることはあります。
それを機能的変化と呼びます。
整理しますと、関節の破壊、強直、関節外の軟部組織の変化など器質的変化によるものと、神経麻痺、疼痛、緊張などの機能的変化によるものということになります。
後遺障害等級認定は、将来にわたり残存する障害を評価するものですので、機能障害として評価されるためには、関節可動域制限を来す原因が器質的変化であることが必要であり、機能的変化は、局部の神経症状(12級13号または14級9号)として評価されるにとどまります。
つまり、むち打ち損傷など、神経症状と呼ばれ、「痛くて動かせない」場合は、運動制限は参考にされません。
また、医学の力で急激に治癒させることは不可能だとしても、人間の持つ自然治癒力で、将来的には良好となる可能性があると考えられています。
だからといって、後遺障害診断書に「緩解の可能性あり」って書かれると、なぜか後遺障害認定はされなくなるのですが。
運動制限は、あくまで骨折など(器質的損傷)により、動かせないというより、動かない障害について参考にされるものと考えた方がよさそうです。