大前提として、後遺障害診断書には、将来においても回復が見込めないと判断される症状とその原因及び裏付けとなる検査所見等について記載されることが必要です。
1 脳の障害
診断書とは別に、 「脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書」又は「非器質性精神障害の後遺障害の状態に関する意見書」の提出が求められることがあります。
その場合は、ここに説明することの他、その記載要領に沿った記載も必要です。
1) 器質性の障害
高次脳機能障害と身体性機能障害に分け、その原因となった脳損傷について、MRI、CT等による所見の記載が必要です。
MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められる場合は、その旨が記載されていることが必要です。
脳損傷による身体性機能障害が認められる場合は、麻痺の範囲と程度についての記載が必要です。
2) 非器質性の障害
脳の器質的損傷を伴わない精神障害については、抑うつ状態等の精神症状の状態及び身辺日常生活等の能力に関する事項が記載される必要があります。
2 せき髄の障害
診断書とは別に、「脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書」の提出を求められた場合は、その記載要領によります。
せき髄の損傷による麻痺の範囲と程度、尿路障害などの腹部臓器の障害の状態のほか、それらの障害の原因となったせき髄損傷の部位について記載される必要があります。
また、せき柱の変形障害や運動障害が認められる場合は、 その内容について記載される必要があります。
3 外傷性てんかん
発作の型と頻度について、具体的に記載される必要があります。
なお、発作の発現はないものの、脳波上明らかにてんかん性棘波が認められる場合は、その旨が記載される必要があります。
4 頭痛
疼痛の部位、性状、強度、持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見について、具体的に記載される必要があります。
めまい等が認められる場合は、眼振その他平衡機能検査の結果が記載される必要があります。
6 カウザルギー、RSD
疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度、持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見が記載される必要があります。
RSDについては、 関節の拘縮、骨の萎縮及び皮膚の変化の有無について併せて記載される必要があります。