損害賠償の賠償金って、自賠責保険の保険金とは別にもらえるものなのでしょうか、という質問があります。
受け取る順番等の話では無くて、全く別個に受け取るものであるとお考えの方がいるようです。
残念ながら、それは違います。
ここでまず、違いを知っておいて欲しい言葉があります。
「保険金」
「賠償金」
「保障」
「賠償」
これらは、普段、何げなく使っていますが、意味はまったく違います。正直、意味はごちゃ混ぜではないでしょうか。
保険金は、当然、保険会社から支払われるものですが、保険会社と言われても、自賠責保険と任意保険がありますよね。
自賠責保険からの保険金は、最低限の保障です。
任意保険会社から支払われる保険金は本来、加害者から支払われる「賠償金」です。
加害者が賠償してから加害者に払うべきであろうところ、手続きを簡便にするために、任意保険から被害者に支払う形になっています。
保障とは、権利や安全を守る社会の制度を言います。
自賠責保険の担う保障とは、自動車社会から国民を守る保障です。
これは、労災と一緒です。
人は社会で生きて行こうとすれば、どうしても、働いて、収入を得る必要があります。また、憲法でも、国民には「勤労の義務」があると明文化されています。
働いていくうえでも、やはり、事故との遭遇は避けられません。
ですから、やはり、社会で生きていく上での保障として、労災保険が存在します。
言いたかったのは、自賠責保険から受け取った保険金が賠償ではないということです。
ただ、最低限の保障と、賠償は、別々に受け取るものではありません。
イメージとして
「最低限の保障(自賠責保険金)」+「任意保険からの保険金」=「賠償」
です。
なので、自賠責保険からもらった保険金の他に、丸々の賠償金がもらえるという考えは誤りとなります。
また、自賠責保険は、交通事故によって、怪我をしたり、死亡されたりした方すべてを保障する制度ですので、過失が圧倒的に大きい、一般的に見て、どう考えても加害者と言えそうな人であっても、過失100%でなければ、ちょっとでも仕方が無い部分があれば(例えば過失が95%あったとしても、5%は相手にも責任があったのかも)、相手方の自賠責保険の保障が受けられたりします。
ここを見ると、自賠責保険がどのような制度なのか、少し感じていただけるかと思います。