後遺障害を獲るとはどういうことですか? という質問がありました。
正確には、獲るというより「認めてもらう」です。
では、誰に認めてもらうのか。
加害者でも、保険会社でもありません。
自賠責保険に認めてもらうのです。
世の中で言われる「後遺障害を獲る」というのは、正確にいうと、
「交通事故によって受けた怪我を原因とする後遺障害の存在を、自賠責保険に認めていただく」
ということになります。
冷静に考えてみてください。
後遺障害があるんだ! と言って、ハイそうですかと、後遺障害に関連する賠償を簡単にする保険会社がいるでしょうか。
いないですよね。
こういう時、通常は、裁判の判決によって後遺障害を認めさせ、賠償を受けることになります。
しかし、交通事故に限っては、後遺障害は自賠責保険が判断してくますし、保険会社は自賠責保険の判断に従います(後遺障害の存在についてのみで、賠償金額の話は別)。
それなら、いきなり裁判などしなくても、まずは自賠責保険に後遺障害を認めてもらえるように努力した方がいいのではないでしょうか? というのが、後遺障害を獲るという表現の趣旨だと思います。
嘘をついてまで後遺障害を認めさせるという風に取れなくもない表現ですが、そういう趣旨は無い・・・はずです。
賠償金や慰謝料だって、交通事故に限らず「取る」って言い方をしますが、本来は、発生した損害を埋めていただく賠償は取るものではありません。
当然にお支払いいただくものです。ただ、損害の立証責任が被害者にあるから、被害者が努力しなければならなくて、どうしても「取る」という感覚になりやすい。
それと一緒なのだと思います。