任意保険は、契約を取るときは「対人無制限」などと言いながら、実際は、カツカツに支払いを制限してきます。
加害者が、その示談交渉において「人身の賠償金10億」としたとしても、無制限に払うといっているはずの任意保険会社、支払うはずないんだろうなぁ、と思います。
そもそも、無制限なんて、実現不可能な内容の契約が、よく有効に成立するものだと思います。
さて、任意保険、つまりは損害保険会社は、保険業務に関して言えば、実は赤字企業です。
それでも最終的に黒字がでるのは、加入者から預かった保険金を運用して黒字を出しているからに他なりません。
郵政じゃなくて、国民年金を民営化しておいてくれれば、使い込みや不明どころか、増やしておいてもらえたんだろうなぁ、という冗談はさておき。
運用する資金は多ければ多いほど多くの利益を生み出せることから(失敗すれば損失も出ますが)、資金の流出、つまりは賠償金としての保険金の支払いは、保険会社からすれば、避けたいのは当たり前です。
交通事故賠償において、このように、死活問題ともいえる利害関係を持つ損害保険会社が、どうして示談交渉権を持つに至ったかはわかりません。
「士」と付く資格業の存在理由のひとつには、「利害関係のない第三者が間を持つ」ことの必要性があるはずだからです。
しかし、払い渋りがあるとはいえ、紛争処理センター等の利用で、そこの嘱託弁護士のあっせんを受ければ、任意保険会社はそれを尊重することを考えれば、裁判所の手続きを通して、加害者本人に支払いを求めるより、少しはマシなのかも知れません。
ただし、近年、そのあっせん機関への不信感の高まりを感じます。