もともと、損害を受けた場合は、損害を受けた人がその損害を立証する必要があります。
そのようなルールの中では、被害者の主張が通らないことがあるのは、よくよく理解できると思います。
損害の賠償をしたくない相手方にも、そんな損害を与えた覚えはない、と主張する権利も当然にあるからです。
後遺障害など、外見からだけでは判断しづらい人身損害の場合、医学的に明らかであるように見えてさえ、加害者側が認めない限り、「被害者がその後遺障害は交通事故が原因であると立証できた」ということにはなりません。
例えば、交通事故で怪我をした、後遺障害が残った場合は、他に目撃者がいるとか、警察の調書等で、まず、人身事故であることを立証する必要がありますよね。
交通事故があったこと、それそのものは、事故当時に警察を呼んでさえいれば、そう難しくはないでしょう。
しかし、人身損害、とりわけ、後遺障害の立証は、そう簡単にはいきません。
特に神経症状と言われるむちうち。
外傷は小さく見えても、重篤な障害が残りがちな高次脳機能障害。
失明した場合などでも、交通事故が無くても、失明したはずだと加害者側が主張できるケースも無くはありません。
その場合は、被害者側が、交通事故以外に失明するような持病はなかった、そういう持病があったとしても軽度であったと証明する必要が発生します。
通常は、それがまとまらなければ、裁判、ということになります。
相手が認めなければ、強制的に認めさせるには、裁判の判決を受けるしか方法が無いからです。
しかし、世の中では、裁判という手続きは、お金と時間がかかるという認識が定着しており、一部を除いて、その認識は大きく外れてはいません。
その他に思いつくような方法は、一般的に、逆に被害者側が脅迫等の罪に問われるばかりではないでしょうか。
では、交通事故被害者は、お金と時間をかけなければ、適正な賠償を受けることはできないのでしょうか。
そんなことはありません。
自賠責を利用すれば、少なくとも、加害者側が任意保険に加入している場合、裁判よりも少ないお金と時間、なにより低リスクで損害を立証し、加害者側に認めさせることができます。
ここでは、特に、交通事故と、後遺障害や死亡との因果関係に絞って、自賠責保険のシステムと、メリットについて、説明していきます。
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後遺障害の存在を、単に加害者や保険会社に訴えても、深い意味はありません。
もちろん、加害者側が、それを認め、賠償してくれるのであれば、意味はあるのでしょうが、そうはならないのは、よく御存じと思います。
他の事件であれば、そういう場合は、裁判によって民事責任を問うところです。
ところが、交通事故においては、裁判以外に、後遺障害の存在を認めさせる方法があります。
それは「自賠責保険」から、後遺障害の認定を受けることです。
無保険の加害者には意味があるのかないのかわかりませんが、少なくとも、任意保険会社は、自賠責保険の判断を尊重し、自賠責保険が認定した後遺障害に基づいて、後遺障害部分の賠償をします。
もちろん、金額については、任意保険会社の基準で提案されることとなりますが、任意保険のみならず、紛争処理センターなどの紛争処理機関や、裁判においても、原則、自賠責保険の判断を尊重します。
しかし、心配の残る金額については、自賠責の後遺障害認定に基づいた上で、紛争処理機関や裁判所が適正な賠償額をあっせん、決定してくれます。
なので、交通事故において、後遺障害が認められる、ということは「自賠責保険に後遺障害が認められる」とほぼイコールだと言えます。
その自賠責保険の専門家こそが「行政書士」であり、だからこそ、多くの行政書士が、交通事故においては、自賠責保険による後遺障害の認定が重要だと説明することとなっています。
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自賠責保険による後遺障害認定は、精神的、身体的な、き損状態が「永久的」「半永久的」に残ることが、医学的、客観的に立証されたものについて、該当(相当)する等級の認定が行なわれます。
「永久的」とは、治ゆ、症状固定の時点で、将来、全く回復の見込みがないと断定される程度をいいます。
「半永久的」とは、相当の期間を経過し、将来ある程度の回復は見込めるが、回復のための医療効果が望めない程度をいいます。
また、事故と受傷の内容(初診以降、後遺障害確定までの診断内容による)と、後遺障害の内容との間に、相当因果関係がなければなりません。
これは
1、医師の証明
2、事故の態様と受傷内容
3、診療の経過
によって判断されます。
このことから、自賠責保険で症状固定というところを労災では「治ゆ」と言います。
医師によっては、この専門用語の常識、労災での常識によって、自賠責保険の書類を書きがちですが、自賠責保険は治ゆしたというと、事故前の健康を取り戻したと受け止めるので、注意が必要です。
さらには、良くなるという可能性を患者さんに残したいという医師としての当然の思いやりとして、治りそうなことを後遺障害診断書に書かれがちですが、それだと、ここにある説明と比べればわかるとおり、自賠責は後遺障害は無い、と判断することになるので、これも注意が必要です。
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後遺障害の認定は、「治癒」又は、「症状が固定」した時に行なわれます。
・治癒
治療してもしなくても同じ状態で、医療効果が全く期待できなくなった状態をいいます。
・症状固定
受傷した症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終的な状態をいいます。
治癒に比べれば、症状固定の方が、自然治ゆを含めた最終の状態に見えますが、交通事故賠償は、意味のある治療しか治療費を賠償しないことから、交通事故賠償における症状固定は、医療効果が期待できなくなった治癒とほぼ同じ意味と受け止めることができます。
・治癒日、症状固定日
医師が決める場合
客観的な判断による場合
事故によって受傷した時、既に後遺障害が残ることが明らかな場合は、診療の終了、医師の診断を待たずに後遺障害が認定することができます。
例えば、切断や抜歯等の場合、症状を悪化させないために、或いは当該部位の症状を、できるだけ日常生活が快適に過ごせるようにするために治療するわけですが、受傷前の状態に戻すことも、受傷前の生活をそのまま取り戻すこともできません。
失った部位は、自然的経過によって最終的に到達する状態と同じであることが、客観的にも容易に判断できます。
このような障害については、外科、歯科の治療期間中であっても、後遺障害による損害の請求はできます。
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後遺障害が複数あることがあります。
腕と脚、右脚と左脚、組み合わせは様々です。
複数の後遺障害がある場合、それぞれの等級に関わらず、日常生活や労働に大きな影響を与えることが考えられます。
この場合、自賠責保険の後遺障害では、特別の考え方が取られます。それを。
併合繰り上げ
と言います。併合11級なんて言い回しになります。
併合のルールは、次のように定められています。
後遺障害の第13級以上に該当する身体障害が2つ以上ある時には、重い方の身体障害を1級繰上げる。
ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が、繰上げ後の後遺障害の保険金額を下回る時には、前記合算額を採用する。
この但し書きは、それぞれの後遺障害の保険金額の合計と、併合した場合の保険金額を比べて、低い方を採用する、という意味です。
併合した場合が保険金額が少なくなるというケースは、主に13級と上位等級の組み合わせで発生します。
他にも、
第8級以上に該当する身体障害が2つ以上ある時は重い方の障害を2級繰上げる
第5級以上に該当する身体障害が、2つ以上ある時は、重い方の障害を3級繰上げる
という規定があります。
また、少し複雑なのが、併合する場合の、併合前の各等級の保険金と、併合後の保険金額の比較をする際
1、2つでは無く、3つ以上の後遺障害がある場合は、3つ以上の後遺障害で積算した金額と、併合後の保険金額を比較する
2、高齢者など、後遺障害の保険金額が、自賠責の上限に満たない場合は、上限では無く実計算額で併合前と併合後を比較
3、併合の対象にはならない等級であっても、併合前の保険金額計算には14級分を加算して計算するので、併合前>併合後になるケースでも、14級分が加算されることによって併合前<併合後というケースがあり得ます。
ただし、複数の後遺障害があったとしても、併合繰り上げしない場合があります。
1、同一系列の後遺障害
同一上肢の欠損障害と機能障害のような場合がこれにあたります。
2、異なる系列の障害であっても併合繰り上げしない場合
1)1つの身体障害で、見方によって障害等級表上, 2つ以上の等級に該当する場合
2)1つの身体障害に、通常派生する関係にあるもの
また、併合繰り上げすると、後遺障害等級の序列が狂ってしまう場合も、調整があります。
1、併合繰り上げすると、後遺障害等級が高すぎてしまう場合
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃し(第6級)、他の1関節の機能に著しい機能障害(第10級)を残すものは、併合の方法を用いると、第5級に繰上がりますが、「1上肢の用を廃したもの」(第5級)よりは、後遺障害の程度が低いので、直近下位の等級、第6級の障害として認定されます。
2、併合繰り上げしても、後遺障害等級が低すぎる場合
昔と比べて、後遺障害等級が見直されてるので、すぐに例が思いつかないのですが、バランスがとれないときに、1と同じような手法で、調整が取られます。
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交通事故に遭う前から、身体に障害のあった人が、事故によって更にその障害の程度が重くなった時には、重くなった後の等級を適用し、その全額から、既にあった障害に相当する等級の保険金額を差し引いた額が自賠責から支払われます。
これを「加重障害」といいます。
ここでいう、交通事故に遭う前から身体にあった障害は、その原因が過去の交通事故である必要はありません。
昔、病気が原因で、片方の目が失明していた人が、交通事故によって、もう片方の目も失明した場合、もともとが片眼失明で8級程度の障害があったとして、交通事故での失明は、新たにもう一方が片眼失明で後遺障害8級とするのではなくて、交通事故で負ったのは両眼失明(第1級)として認定し、保険金額は(今回の後遺障害1級の額)-(もともとあった第8級の額)で計算されることになります。
昔、転んでできた傷が額にあったとして、改めて、交通事故によって大きな傷が出来た場合に、もともと顔に傷があったんだから、さらに傷が増えても関係ないでしょ、とはならず、後遺障害として認められる可能性があります。
可能性というのは、外貌醜状は、大きさばかりじゃなくて、色んな要素が絡み合うものなので、加重と言えたり、加重ほどではないけど、後遺障害14級に認定することにするなど、一概に言えないからです。
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