当サイトには交通事故被害者さんに
・無料で提供できる部分はすべて提供する
・その上でご信頼いただけたなら有料サービスをご依頼いただく
・依頼いただいたなら、当事務所の尽力により、交通事故を過去の「今となってはいい思い出」としていただく
を理念に運営しています。
とはいえ、うまく各ページに振り分けられなかったことや、メールや電話、事務所でのご相談の中で、これは多くの交通事故被害者さんに共有していただくべき相談事例ではないか、と思ったことを『よくある相談』としてまとめています。
日本は、どんな手続きも、こちらから申請や、要求をしないと、何も起きず、場合によってはその権利すら消滅するシステムとなっています。
交通事故被害者として取るべき手続き、取れる手続きを知っていただき、行動を起こす際のパートナーに、もしかして当事務所を選んでいただけたら、それはとてもうれしいことですし、もし、当事務所をお選びいただけなくても、あなたの損害が回復されれば、この『交通事故被害者相談駆け込み寺』を開設し、これにまさる喜びはありません。
ここでは主に『病院の対応や医師の対応』についてのよくある相談をまとめています。
交通事故で、健康保険証は使えます。
社会保険なら勤務先、国民健康保険なら市町村役場に確認してみてください。
第三者行為届の提出を求められるかと思いますが、健康保険証を使うことはできます。
それどころか、大きな怪我により、治療の長期化と治療費の高額化が予想される場合は、任意保険会社から健康保険証の使用を促されることすらあります。
交通事故による自由診療では、健康保険証使用と比べ、医療報酬が1.2倍~1.5倍(自由なので病院によって違いがあります)になることから、病院側としては、自由診療の方が有り難いため、このような扱いが横行しているものと考えられます。
健康保険証利用による被害者のデメリットがあるとしたら、病院の対応に、変化があるかも、ということでしょうか。
私は、社会保険労務士ではないので、詳しくはわかりませんが、労災事故は健康保険証の利用はできず、診療報酬も、保険証利用に比べ1.2倍になることから、交通事故と労災事故の扱いを混同されている方がいるのかも知れません。
国保については、下記を参考にしてください。
サイト | 管理者 |
国民健康保険・交通事故の遭った時 | 栃木県国民健康保険団体連合会 |
病院の記録って、いつまで義務付けられているものなのですか? という質問がよくあります。
大雑把にいうと、カルテは5年、その他が3年ということになるでしょうか。
根拠になりそうな法令は、以下のとおりですが、ちょっと、わかりにくいですよね。
普通の病院は、みんな、保険がつかえるので、最後に掲載している「保険医療機関及び保険医療養担当規則」で考えるのが、一番、わかりやすいかも知れません。
カルテ(診療録)保存期間の根拠法令
医師法
第24条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。
その他の記録の保存期間の根拠法令
医療法
第21条 病院は、厚生労働省令の定めるところにより、次に掲げる人員及び施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない。
1.当該病院の有する病床の種別に応じ、厚生労働省令で定める員数の医師、歯科医師、看護師その他の従業者
2.各科専門の診察室
3.手術室
4.処置室
5.臨床検査施設
6.エックス線装置
7.調剤所
8.給食施設
9.診療に関する諸記録
10.診療科名中に産婦人科又は産科を有する病院にあっては、分べん室及び新生児の入浴施設
11.療養病床を有する病院にあっては、機能訓練室
12.その他厚生労働省令で定める施設
2 療養病床を有する診療所は、厚生労働省令の定めるところにより、次に掲げる人員及び施設を有しなければならない。
1.厚生労働省令で定める員数の医師、歯科医師、看護師及び看護の補助その他の業務の従業者
2.機能訓練室
3.その他厚生労働省令で定める施設
第22条 地域医療支援病院は、前条第1項(第9号を除く。)に定めるもののほか、厚生労働省令の定めるところにより、次に掲げる施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない。
1.集中治療室
2.診療に関する諸記録
3.病院の管理及び運営に関する諸記録
4.化学、細菌及び病理の検査施設
5.病理解剖室
6.研究室
7.講義室
8.図書室
9.その他厚生労働省令で定める施設
医療法施行規則
第21条の5 法第22条第1号 から第8号までの規定による施設及び記録は、次のとおりとする。
1.集中治療室、化学、細菌及び病理の検査施設並びに病理解剖室は、当該病院の実状に応じて適当な構造設備を有していなければならない。
2.診療に関する諸記録は、過去2年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約及び入院診療計画書とする。
3.病院の管理及び運営に関する諸記録は、共同利用の実績、救急医療の提供の実績、地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修の実績、閲覧実績並びに紹介患者に対する医療提供及び他の病院又は診療所に対する患者紹介の実績を明らかにする帳簿とする。
保険医療機関及び保険医療養担当規則
第9条 保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から3年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から5年間とする。
お医者さんに意見書をもらう場合、どうしたらいいですか、という質問をいただきます。
当事務所の神髄の一つは、そこにあるので、軽々しくお答えすることはできません。
一つ言えることは、医療ミスみたいな言い方をして、お医者さんに「書かせよう」というスタンスで臨むことはよくない、ということです。
お医者さんは、一番、敵に回してはいけない存在です。
中には、本当に、どうしようもないお医者さんもいますが、通常は、被害者側から喧嘩を売らなければ、そうヒドイことにはなりません。
当事務所でも、お医者さんに何かをお願いする時は、とても気を遣っています。
どんな紙に書いてもらえば、というのは、お医者さんの自由書式なので、病院備付の用紙を使ってもらえば十分です。
交通事故で、後遺障害という損害を説明する際、レントゲンや、MRIといった画像所見は必要不可欠。
その提出を医療機関に求める際に、対応がさまざまで、交通事故被害者さんが困惑されることがあります。
パターン1 無償で貸し出し。返却を迫られる。
パターン2 有料で買い取り。
これは、診療記録の保存期間の項で説明させていただいている、診療記録の保存義務に関係があります。
医療機関は、診療記録を保存する義務を負っているので、その紛失が、被害者本人の責によろうが、その提出先の自賠責であろうが、紛失してしまった際に、義務違反に問われる恐れがあります。
なので、無償で貸し出しの場合は、確実に返却してください。
ただし、2週間以内に返却してください、とお願いされても、それは、自賠責保険の審査上、不可能なので、できるだけ早くお返しします、と言って、借りるしかありません。
有料で買い取りの場合は、お金もかかるし、不満を感じる被害者さんもいらっしゃると思いますが、これは、原本ではなく、写しを買い取りです。
この場合は、医療機関は、保存義務を誠実に守ろうと、事故への備えをしているだけなので、問題ありません。
最近は、画像所見、CDで預かることが多くなりました。
CDの場合は、買い取りもあれば、無料でくれることもあります。これも、コピーなのでしょう。
病院を紹介してください、という相談がよく寄せられます。
一部では、医療機関との提携を謳う専門家もいるからなのでしょう。
しかしながら、当事務所では、そのようなことはしていません。
いい病院や、残念ながら交通事故には向いてないかな、という病院の情報は、確かにあります。
しかし、提携をするつもりはありませんし、いい病院を、相談業務の中で紹介するつもりはありません。
理由は次の通りです。
1、後遺障害が認定された方が儲かる専門家と、病院が提携していた場合(特にバックマージンなどがある)は、その病院の診断書等の信ぴょう性が疑われ、また、バックマージン分が何かの名目で依頼者さんのご負担になる可能性がある。
2、相談程度で、ここがいいみたいだよ、と伝えたところ、提携しているわけでもないのに、病院で私の名前を出され、病院に迷惑をかけたことがある。
3、そもそも、専門家と、病院が、それぞれにプロの仕事をすれば、提携は必要ない。
もちろん、正式にご依頼いただいた中の業務として、必要があれば、あちらの病院で診てもらってはどうかなど、セカンドオピニオン先として、病院を案内させていただくことはあります。
整形外科では無く、整骨院(接骨院)に通いたいという相談がよく寄せられます。
通常は、整形外科の医師の指導や承諾を受けて、整骨院への通院を開始します。
なぜならば、整骨院の柔道整復師の先生は「診断」することができないからです。
つまり、整形外科の診断のもと、必要と認められない限り、整骨院で施術を受けてくることは、余計なことであり、必要な治療費とはみなされない可能性があるのです。
整形外科でなくとも、保険会社に連絡し、承諾が得られることもあります。
保険会社は、医師でもないのに、整骨院通院が必要なことかどうか、どうしてわかるのでしょうか。
それは、保険会社は、医師から診断書を集めたり、意見を求めたりしているからです。
また、示談の相手方が認める、ということは、少なくとも、あとから整骨院での治療費を否定されることは無い、ということにもなります。
しかし、保険会社が承諾したとしても、整形外科の先生にも、整骨院に通うことを報告しておくことをお勧めします。
最終的に後遺障害診断書を書いてくれるのは医師だからです。柔道整復師は法律上、書けません。
であるならば、後遺障害診断書を書いてもらうことになるであろう医師との関係は良好に保っておく必要があります。
やはり、整形外科の医師には、事前に承諾を得てから、整骨院への通院を開始し、なおかつ、整形外科にも最低でも月に1回は通院し、状態を診てもらい、診断書を書いてもらえるようにするべきです。