外傷後疼痛が症状固定後も消退せず、疼痛の性質、強さなどについて病的な状態を呈することがあります。
この外傷後疼痛のうち特殊な型としては、末梢神経の不完全損傷によって生ずる灼熱痛(カウザルギー)があり、これは、血管運動性症状、発汗の異常、軟部組織の栄養状態の異常、骨の変化(ズデック萎縮)などを伴う強度の疼痛です。
カウザルギーについては、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して次のごとく等級の認定を行うこととされています。
「軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの」は、第7級とされます。
「通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働 に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級とされます。
「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの」は、第12級とされます。
なお、障害等級認定時において、外傷後生じた疼痛が自然的経過によって消退すると認められるものは、後遺障害認定の対象とはなりません。
この考え方が、後遺障害認定において、神経症状等を、非該当にする根拠とされていることが予想されます。